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  • ころがるさくら・東京大空襲
    岡本信治郎
    2006
    アクリル/カンヴァス
    写真:大谷一郎

    岡本信治郎(1933-2020)は、1960年代初頭から、カンヴァスにアクリル絵具で描くスタイルを貫いている画家です。細い線で輪郭をとり、明るい色彩でむらなく塗る手法を用いて、東京の下町育ちの少年期の記憶から神話や宗教・戦争まで幅広い主題を描いています。岡本は、イメージと言葉に溢れた饒舌な画面が、「見る絵画」、「読む絵画」さらに「笑う絵画」として機能することを求めてきました。
    《ころがるさくら・東京大空襲》は、1945年3月10日の大空襲を原風景にもつ画家が、70代の挑戦として取り組んだパノラマです。左に上野地下鉄ストア、中央に九段坂、右に浅草松屋デパートと軍艦大和を配し、それが焦土と化す世界、さらに未来空間の黙示録的世界を描いています。岡本は、神話も歴史も通俗的要素も個人的な記憶も、すべてクールな思考と手さばきで対象化して等価に扱い、言葉とともに過剰に絵画空間を満たすことで、多様な見方・読み取り方を促す批評性に富んだ絵画を創出しました。

  • 殺菌
    豊嶋康子
    2006
    殺菌灯、蛍光灯器具、色カード、美術館の展示ケース、指示書
    写真:柳場大

    豊嶋康子(1967-)は、社会において人の思考や認識、行為を成立させている枠組みや仕組み、ルールといったものを、きわめて意識的に問い続けている作家です。人が内面化している様々な仕組みに対して、その中に入り込み、自身の表現としていわば作り直すことで、翻ってその構造全体を可視化する仕事を重ねてきました。
    《殺菌》は、展示ケースの内側に殺菌灯と色見本が置かれた作品です。殺菌灯が発する紫外線によって、本来守られるべき色見本の色彩が徐々に退色しきます。外界から作品を守るため展示ケースに貼られた紫外線カットフィルムの役割は、ここでは、外界/鑑賞者を守ることへと反転しています。豊嶋の作品では既知であるはずのものが馴染みのないものとして現れ、私たちの立つ空間、その枠組み自体へ見る者の意識を差し向けます。

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