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  • 女性と少年像
    撮影者不詳
    1840-59年
    ダゲレオタイプに手彩色

    「写真のエステ 五つのエレメント」
    この展覧会では「写真の美しさはどこにある?」をテーマとして、29,000点を超える東京都写真美術館の豊富なコレクションのなかから、企画者である私が感じている写真の美の在り方を選びとり、五つのエレメント「光」「反映」「表層」「喪失感」「参照」に分けて作品を紹介。
    企画・構成 石田哲朗(東京都写真美術館/学芸員)

    エレメント/ 光
    最初期の技法であるダゲレオタイプの写真には、今ここにないものの姿が定着され、目の前に現れてくることの魔法のような非合理や驚きの感覚がある。「消滅してしまった存在の写真は、ちょうど星からの光が遅れてやってくるように、私に触れにやって来るのだ。」20 世紀フランスの評論家ロラン・バルトの言葉は、過去から来た光にいま直接触れていることの驚きを瑞々しく語っている。幕末・明治期の日本人がphotography を「写真」と名付けたときに感じたビジュアル・ショックを想像してみる。初期写真は、映像が氾濫する現代の情報社会が忘れてしまった感性を呼び覚ましてくれる。
    光は始原であり、生命を与えるもの。撮影装置の起源である「カメラオブスクラ」は、小さな穴を通して暗い部屋の中に外界から光が注ぎ、部屋の内側に像を結ぶ原理からできている。
    たくさんの窓。暗い室内に外側から光が差し込んでくる情景、窓越しに見える風景は、写真の原理そのもののメタファーだ。純粋に、光を捕まえることへ向かっていく。そんな写真は美しい。

    ダゲレオタイプ
    ルイ・ジャック・マンデ・ダゲールによって発明され、1839年にフランスで発表された写真技法。誰でも使えるように特許が公開された、世界で最初の写真技術である。発明者のダゲールの名前を冠してダゲレオタイプと呼ばれる。ダゲレオタイプの像を得るためには、ヨウ素蒸気を定着させた銀メッキ銅板を露光し、水銀蒸気をあてて現像する。画像は銅板の上に左右逆に撮り、しかも1枚しか作ることができないが、非常に鮮明な像を得ることができたために「記憶を持った鏡」と賞賛されて爆発的な人気を得た。ネガ=ポジ法の普及に伴い、1860年代より次第にすたれていった。

  • ヌビア、フィラエ神殿(椅子)
    『エジプト、ヌビア、パレスチナ、シリア1849-51年の写真スケッチ』より ヌビア、フィラエ神殿(椅子)
    マクシム・デュ・カン
    1849-1851
    単塩紙

    「写真のエステ 五つのエレメント」
    この展覧会では「写真の美しさはどこにある?」をテーマとして、29,000点を超える東京都写真美術館の豊富なコレクションのなかから、企画者である私が感じている写真の美の在り方を選びとり、五つのエレメント「光」「反映」「表層」「喪失感」「参照」に分けて作品を紹介。
    企画・構成 石田哲朗(東京都写真美術館/学芸員)

    エレメント/ 喪失感
    廃墟や昔の記念写真。失われた時の痕跡は人の記憶や情動をゆさぶる。人は写真をとおして取り返しのつかない時間の流れに思いをはせる。
    人は廃墟や時代の遺物に何を見いだすのだろうか。19 世紀の西洋人は古代文明や異文化をロマンティシズムやノスタルジーの対象として愛好した。20 世紀の戦争がもたらした巨大
    な暴力と破壊は、戦後を生きる人間の精神に容易には消えない深い傷痕を刻みつけた。
    私は喪失感をもった写真に強く惹かれる。写真の中には別の時間が流れていることの不思議さと切なさ。時間の不可逆性の混乱。写真に対して感じる原初的な畏怖や魔術のような感覚。写真から感じる喪失感は、そうしたものにつながっている。

    単塩紙
     硝酸銀と食塩で処理した印画紙をソルテッド・ペーパー(食塩紙)という。19世紀における初期写真の技法であるカロタイプのポジとして用いられ、カロタイプ技法によって作られたプリントは単塩紙(ソルテッド・ペーパー・プリント)と総称されている。

    マクシム・デュ・カン (1822-94)
    19世紀フランスの文学者・ジャーナリスト。1849-51年に中東を撮影旅行。52年史上初の紀行写真集『エジプト、ヌビア、パレスチナ、シリア1849-51年の写真スケッチ』を刊行。同書は125枚の写真が添付され62ページの解説が付いたアルバムである。

  • 生命の泉は汝とともにあり
    C.テュネ
    1865年
    鶏卵紙

    「写真のエステ 五つのエレメント」
    この展覧会では「写真の美しさはどこにある?」をテーマとして、29,000点を超える東京都写真美術館の豊富なコレクションのなかから、企画者である私が感じている写真の美の在り方を選びとり、五つのエレメント「光」「反映」「表層」「喪失感」「参照」に分けて作品を紹介。
    企画・構成 石田哲朗(東京都写真美術館/学芸員)

    エレメント / 参照
    ひとつのイメージは他のイメージを源泉として未来に再生される。ひとつのイメージは過去の美術の歴史や同時代の視覚文化とつながっている。モダンアートにおいては、ひとつの作品が他の何にも似ていないことが創造的であるとされてきた。ポストモダンアートと呼ばれる高度情報化社会の美術作品は、先行する美術作品や様々なジャンルの視覚表現を引用し、参照することで成立している。
    これはインターネット上であらゆるイメージがリンクする時代にふさわしい視覚表現だが、一方でこうしたスタイルは、殊更に新しい態度ではない。過去の伝統に解釈や独創を加え、
    次世代の美意識を更新していく試みは、いつの時代にあっても魅力的な作業である。

    鶏卵紙
    1850年、フランスのルイ=デジレ・ブランカール=エヴラールが発明した印画紙。卵白と食塩の溶液に浸した紙に、硝酸銀溶液を塗布することによって感光性を与えたもの。この印画紙を露光させたのち定着し、塩化金によって金調色すると、暖かみのある茶色、クリーム色のトーンが得られた。19世紀の終わり頃まで、最もポピュラーな印画紙だった。

  • 『ノーフォーク・ブローズの生活と風景』より
    ピーター・ヘンリー・エマーソン
    1886年
    プラチナ・プリント

    「写真のエステ 五つのエレメント」
    この展覧会では「写真の美しさはどこにある?」をテーマとして、29,000点を超える東京都写真美術館の豊富なコレクションのなかから、企画者である私が感じている写真の美の在り方を選びとり、五つのエレメント「光」「反映」「表層」「喪失感」「参照」に分けて作品を紹介。
    企画・構成 石田哲朗(東京都写真美術館/学芸員)

    エレメント / 参照
    ひとつのイメージは他のイメージを源泉として未来に再生される。ひとつのイメージは過去の美術の歴史や同時代の視覚文化とつながっている。モダンアートにおいては、ひとつの作品が他の何にも似ていないことが創造的であるとされてきた。ポストモダンアートと呼ばれる高度情報化社会の美術作品は、先行する美術作品や様々なジャンルの視覚表現を引用し、参照することで成立している。
    これはインターネット上であらゆるイメージがリンクする時代にふさわしい視覚表現だが、一方でこうしたスタイルは、殊更に新しい態度ではない。過去の伝統に解釈や独創を加え、次世代の美意識を更新していく試みは、いつの時代にあっても魅力的な作業である。

    プラチナ・プリント
    1873年イギリスのウィリアム・ウィリス考案。画像がプラチナで形成されているので変退色しにくく、格調高く深みと豊かさのある階調で再現できることが特徴である。感光性のある鉄の化合物を紙に塗り、ネガと密着させて太陽光で焼き付ける。

    ピーター・ヘンリー・エマーソン (1856-1936)
    キューバ生まれ。最初は医者を志すが、人類学的研究にために手にした写真に没頭、医学を断念する。東イングランドやウエールズの自然や民族を主題とする。85年ノーフォークの湖沼地帯を撮影し、87年に自然主義画家のトーマス・フレデリック・グッドールと『ノーフォークの湖沼地帯の生活と風景』を刊行。89年『絵画を学ぶ学生のための自然主義写真』を刊行、自然主義写真を提唱した。

  • 『玉村写真館蒔絵アルバム』より
    玉村 康三郎・騎兵衛
    1897-1912年頃
    鶏卵紙に手彩色

    「写真のエステ 五つのエレメント」
    この展覧会では「写真の美しさはどこにある?」をテーマとして、29,000点を超える東京都写真美術館の豊富なコレクションのなかから、企画者である私が感じている写真の美の在り方を選びとり、五つのエレメント「光」「反映」「表層」「喪失感」「参照」に分けて作品を紹介。
    企画・構成 石田哲朗(東京都写真美術館/学芸員)

    エレメント/ 表層
    物質の質感、皮膚感。ものの表面とディテールへのフェティッシュな感覚。諧調豊かで高品質な銀塩プリントの技。そしてモノクロームの印画紙の表層に色彩をのせる「化粧」をほどこすことで、外国人を魅了したエキゾティックな明治期の横浜写真。
    写真の表層には目に見えるものしか写らない。内面的なビジョンや精神性を表出する絵画表現と異なって、徹底して表層の美しさ、見栄えの良さにこだわる写真が私は好きだ。

    鶏卵紙
    1850年、フランスのルイ=デジレ・ブランカール=エヴラールが発明した印画紙。卵白と食塩の溶液に浸した紙に、硝酸銀溶液を塗布することによって感光性を与えたもの。この印画紙を露光させたのち定着し、塩化金によって金調色すると、暖かみのある茶色、クリーム色のトーンが得られた。19世紀の終わり頃まで、最もポピュラーな印画紙だった。

  • 『JAPAN』より 桜花と人力車
    撮影者不詳
    1870-90年
    鶏卵紙に手彩色

    「写真のエステ 五つのエレメント」
    この展覧会では「写真の美しさはどこにある?」をテーマとして、29,000点を超える東京都写真美術館の豊富なコレクションのなかから、企画者である私が感じている写真の美の在り方を選びとり、五つのエレメント「光」「反映」「表層」「喪失感」「参照」に分けて作品を紹介。
    企画・構成 石田哲朗(東京都写真美術館/学芸員)

    エレメント/ 表層
    物質の質感、皮膚感。ものの表面とディテールへのフェティッシュな感覚。諧調豊かで高品質な銀塩プリントの技。そしてモノクロームの印画紙の表層に色彩をのせる「化粧」をほどこすことで、外国人を魅了したエキゾティックな明治期の横浜写真。
    写真の表層には目に見えるものしか写らない。内面的なビジョンや精神性を表出する絵画表現と異なって、徹底して表層の美しさ、見栄えの良さにこだわる写真が私は好きだ。

    鶏卵紙
    1850年、フランスのルイ=デジレ・ブランカール=エヴラールが発明した印画紙。卵白と食塩の溶液に浸した紙に、硝酸銀溶液を塗布することによって感光性を与えたもの。この印画紙を露光させたのち定着し、塩化金によって金調色すると、暖かみのある茶色、クリーム色のトーンが得られた。19世紀の終わり頃まで、最もポピュラーな印画紙だった。

  • 題不詳
    ジュリア・マーガレット・キャメロン
    1908年
    フォトグラビア印刷

    「写真のエステ 五つのエレメント」
    この展覧会では「写真の美しさはどこにある?」をテーマとして、29,000点を超える東京都写真美術館の豊富なコレクションのなかから、企画者である私が感じている写真の美の在り方を選びとり、五つのエレメント「光」「反映」「表層」「喪失感」「参照」に分けて作品を紹介。
    企画・構成 石田哲朗(東京都写真美術館/学芸員)

    エレメント / 参照
    ひとつのイメージは他のイメージを源泉として未来に再生される。ひとつのイメージは過去の美術の歴史や同時代の視覚文化とつながっている。モダンアートにおいては、ひとつの作品が他の何にも似ていないことが創造的であるとされてきた。ポストモダンアートと呼ばれる高度情報化社会の美術作品は、先行する美術作品や様々なジャンルの視覚表現を引用し、参照することで成立している。
    これはインターネット上であらゆるイメージがリンクする時代にふさわしい視覚表現だが、一方でこうしたスタイルは、殊更に新しい態度ではない。過去の伝統に解釈や独創を加え、
    次世代の美意識を更新していく試みは、いつの時代にあっても魅力的な作業だ。

    フォトグラビア印刷
    1879年にカール・クリッチによって確立された。写真を大量に複製するための写真製版法のひとつ。銅版に松ヤニ粉と重クロム酸塩ゼラチンを塗り、露光した凹版にインクを詰めて紙に転写する。1880-1930年代にかけてピクトリアリズムの写真家たちに多用された。

    ジュリア・マーガレット・キャメロン (1815‐79)
    1863年、48歳の誕生日に娘夫婦からカメラを贈られたことをきっかけに、身近な人々や19世紀ヴィクトリア朝時代の文化人たちのポートレイトを数多く撮影する。モデルを使い、神話や聖書を題材とした寓意的な写真も制作。晩年の75年セイロンで夫と暮らし、現地の人々の写真を多く撮影した。

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