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  • 下から見上げた建物
    アレクサンドル・ミハイロヴィチ・ロトチェンコ
    1925年
    ゼラチン・シルバー・プリント
    1950年代プリント

    ロトチェンコは被写体に対して様々なアプローチを試みている。この作品はそういった試みのひとつで、極端に見上げたアングルは日常を非日常に変化させる。こうした極端な講図やアングはリアリズムやダイナミックさを表現する手段として、構成主義の写真家がよく利用した。
    彼の写真の特徴は、フォトモンタージュ、極端な角度のアングル、クローズ・アップなどで、不安定は講図を用いて新しい社会の躍動感を伝えようとしたところである。

  • 草の実
    福原路草
    1930-40年
    ゼラチン・シルバー・プリント

    路草は慶應義塾大学を卒業後、文学に傾倒して定職についていなかったが、「写真芸術社」設立後、本格的に制作活動を始めた。
    日本画を思わせるようなモチーフであるのに、モダンな感覚のある作品。木や植物の線(ライン)で絶妙に画面を構成するのは路草の特徴である。「路草」という号は人生の道草を食う男という意味で名乗ったといわれている。

  • はるな、天神草
    福原路草
    1939年頃
    ゼラチン・シルバー・プリント

    路草は慶應義塾大学を卒業後、文学に傾倒して定職についていなかったが、「写真芸術社」設立後、本格的に制作活動を始めた。
    撮影地は、群馬県の榛名山頂上付近の天神峠。作者は望遠レンズの絞りを開放近くで使い、焦点深度を浅くする技法「ディファレンシャル・フォーカス」で独自の空間表現を確立し、日本写真会のメンバーに多くの追随者を生み出した。この作品は、その技法による代表作。
    正面も枯れ草をクローズ・アップで鮮鋭にとらえ、背景の山を大きくぼかした構図は、作者のモダンで際立った構成力を雄弁に語っている。


  • 島村 逢紅
    1925-30年
    ゼラチン・シルバー・プリント

    桜の枝に焦点を合わせ、背景を極端にぼかす技法「ディファレンシャル・フォーカス」を駆使した作品。
    作者が属した「日本写真会」の福原信三は、「光と某諧調」を主唱して“写真印象主義”ともいうべき態度を生む。そして、写真が光による瞬間の芸術である以上、俳諧の途に通じると主張した。和歌山にあって同会の重鎮として活躍した作者は、この作品で彼らの主張を見事に具現化してみせている。

  • オクトパス
    アルヴィン・ラングドン・コバーン
    1912年
    ゼラチン・シルバー・プリント

    カメラ・アングルの解放、それはピクトリアリズムの芸術写真を否定しようとした近代的写真表現の合言葉の一つでもあった。芸術写真家がこだわった人間の眼は、レンズの問題だけでなく人間の身体性のことでもあり、それはすなわち対象を正面から歪みなく見えるカメラ・ポジションこそが「正しい」とすることである。それに対して近代的写真表現では、拠って立つ機械性を強調しようとして、見上げるアングルや真下を観るアングルを恣意的に選択する。それはまさに新しい視覚を切り開くことであったと位置づける。

  • 五月の郊外
    淵上白陽
    1920−25年
    ゼラチン・シルバー・プリント

    「ヴェリト」などのソフト・フォーカス・レンズを使って撮影されたと思われる作品。
    レンズ特有のフレアを生かして、ストレートに引伸しされたプリントには、さわやかな五月の光と空気が“詩的なアトモスフィア”として表現されていて、観るものをロマンティックな世界に導いてくれる。「気分や情緒の表現」を芸術作品の基本とした作者の主張がうかがえる。

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