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  • たそがれの村
    安本江陽
    1931年

    「1931年度日本光画協会展」(1931年5月)で推薦賞を受賞した作品で、「フォトタイムス」1931年9月号に掲載されている。凹状にデフォルマシオンさせた風景の中に、子守をする姉妹(?)や学生服の少年、親子と見える三人連れなどの人物を効果的に配して、一方的に作者の感情を風景に託すのではなく、村の生活の客観的なリアリティと作者の主観を融合させた独自な表現を成立させている。

  • 夕陽の丘(独逸にて)
    安本江陽
    1931年

    福岡で営業写真館を経営する作者は、1931年から32年にかけて木村専一、中山正一らとヨーロッパおよびアメリカの写真事情視察の世界一周旅行に出かける。この作品はその旅行の中で撮影した写真からプリントを作り、それを湾曲させて再撮影して作られたものである。メルヘンの世界を思わせる抒情的な作品には、作者の異国の世界に対するエキゾチズムと憧れとが一つのイメージとして表現されている。

  • 田園初夏
    桜井栄一
    1932年

    お花畑(?)が広がる田園風景の中に遊ぶ着物姿の少女を、印象的にとらえた作品。初夏のさわやかな風が見事に表現されていよう。作者は、『芸術写真研究』誌を中心に作品を発表するが、同誌で活躍する極端なデフォルマシオンと「雑巾がけ」のレタッチを特徴とする日本光画協会系の表現主義的な作風とは一線を画した穏健でストレートな表現で、中嶋謙吉が主唱する「自然と人生の合一」を実践しようとしている。

  • 武蔵野風景
    桜井栄一
    1932年

    郊外の田園風景の中、一人自転車を押して歩く男を中心にとらえたこの作品には、失われてゆく風景と生活に対する郷愁が満ち溢れている。自転車という近代的なものが写されているが、それも含めて郷愁の対象としてとらえる態度は、中嶋謙吉が主唱した態度にほかならない。これは時代を超えて日本人の感情のあり方を示すものである。作者は戦後も一貫してこの態度を貫き、海外でも高い評価を獲得している。

  • 二人像
    小関庄太郎
    1932年

    『フォトタイムス』1932年10月号に「月例第二部」の入選作品として、「佐藤信」の名前で掲載された。選者であった田村榮は選評の中で「この作品は意識された作者の良さが充分に含まれてゐる、私はこの作品が少しグロテスクな感覚あるのが嫌ひであった」としながらも「赤裸々な人間の制作慾を私はこの作品で満喫した事は云ふまでもない」と評価している。

  • 舞妓
    河野龍太郎
    1931年

    第二十回研展(1931年6月)で、このときの最高賞である銀賞を受賞した作品で、同時に「六月の風景」(銀賞)、「静物」(銅賞)が入賞している。すべてブロムオイル印画法による作品であった。舞妓を被写体にしながらも表面的な「綺麗事」に終わらず、作者の独自の美意識が表現されていよう。米谷紅浪は「大体観として満点に近い出来である」「技巧は実に見事なもの」と賞賛している。

  • 白寿像
    河野龍太郎
    1930年

    第十九回研展(1930年7月)で、銅賞を受賞した作品。営業写真館の写真師として確固たる地位を確立していた作者は、日本の営業写真が培ってきた肖像表現の「型」を尊重しながらもモデルである人物の内面に迫る作品を数多く制作している。白寿(九十九歳)の老僧をモデルにしてブロムオイル印画法で重厚に仕上げたこの作品からは、人生に達観しながらも現実を生きる人間の力強さが溢れ出ている。

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