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  • 《たまゆら「戦争画RETURNS」》
    会田 誠
    1999年 
    襖、蝶番、麻布、アクリル絵具、油絵具 
    各169×169cm 

    この「たまゆら」は、『戦争画リターンズ』という1995年から1999年にかけて10点制作された太平洋戦争を題材にした絵画のシリーズのうちの最終作である。陸軍と海軍を想起させる爆発のシーンが一対の屏風に仕立てられている。このシリーズの共通の特色は、不要になったふすまを屏風のように連結して用いることにある。作家の言葉によれば、工芸的完成度を避けてチープな素材で荒削りに作ったのは、個々の作品の「擬似的主張」を前面に見せたかったためとされる。そして、戦争を直接知らない(しかし両親は知っている)世代として、近い過去に自国で起きた歴史的事件をどのように作品化できるのかという人工的な実験のつもりであり、「太平洋戦争」「戦争画」「戦争一般」に対して、作家の脳裏に昔から定着している意味性のまったく無い純粋なイメージを、正直に形にしてみたものであると語っている。

    会田 誠 (1965‐ ) 【あいだ まこと】  
    新潟県新潟市生まれ。1989年東京藝術大学油絵専攻を卒業、1991年東京芸術大学大学院を修了する。
    1992年 個展「絵は四角くなくなくてもよい」谷中ふるふる、東京
    1996年 個展「NO FUTURE」ミヅマアートギャラリー、東京
        個展「戦争画RETURNS」ギャラリーなつか、東京 
        「TOKYO POP」 平塚市美術館、神奈川
    1999年 「日本ゼロ年」 水戸芸術館現代美術センター、茨城
    2007年 「アートで候。会田誠・山口晃展」 上野の森美術館、東京
    2010年 「絵画の庭-ゼロ年代日本の地平から」 国立国際美術館、大阪
    2012年 個展「天才でごめんなさい」 森美術館、東京

  • 《神話A》
    阿部展也
    1951年
    油彩/カンヴァス
    91x116.5cm

    1913 新潟県に生まれる
    1932 独立研究所で学ぶ
    1939 「美術文化協会」の結成に参加,同人となる
    1941-46 フィリピンで日本軍報道部の仕事に従事
    1951 第1回サンパウロ・ビエンナーレ展に出品
     最初の個展(東京,タケミヤ画廊)
    1952 カーネギー国際美術展に出品
    1959 イタリア,ローマに移る
    1971 ローマにて死去


    肋骨が浮き立ち、骨と皮だけにやせ細ったひとが二人、暗闇の中に座り込んでいる。頸のない男に頭を取りつかれた人物は、両腕に力を込め逃れようとしている。戦争中6年間フィリピンで日本軍報道部の仕事に従事した阿部が、帰国後数年を経て着手したのがこの「飢え」のシリーズである。戦前より美術文化協会に所属し、シュルレアリスムの表現を試みていた阿部はまた、前衛写真協会にも所属する写真家でもあった。まさに、石坂洋次郎が言うとおり、「(徴用の間)彼は一枚も戦争画を描かなかった。そして、いま頃、こんな形で彼の戦争画を発表したのである。これは、いささかも感傷を交えない、厳しい戦争否定の宣言……」なのである。本作のタケミヤ画廊回廊の個展への出品、そしてサンパウロ・ビエンナーレ等海外展での活躍を経て、画家は50年代末よりヨーロッパに移り住むことになる。イタリアで客死した阿部のもとには、油彩と並んで、ビザンチンの遺跡の記録写真が大量に残されていた。ここに、人知れず朽ちていくものへの変わらぬ眼差しを我々は知るのである。

  • 《戦争と平和》
    大岩オスカール
    2001年
    油彩/カンヴァス
    227×444cm(各)、2点組


    大岩オスカールは、1965年、日系二世としてブラジルのサンパウロに生まれ、日本での生活(1991-2002年)を経た後、現在ニューヨークを拠点に活動している画家。身の回りの社会事象や歴史に関心を寄せ、イメージ群を自在に参照、構成し、巧みな筆捌きでもって大画面の油彩画に取り組んでいる。大岩の住居が当館近隣の足立区であったこともあり、当館ではこの時期の作品を多数所蔵している。
    《戦争と平和》は、第二次大戦で空襲を受けた下町の歴史をもとに描かれた作品。
    暗い闇と不気味な煙の漂う画面が「戦争」、緑の生い茂る明るい画面が「平和」と名づけられている。確かに前者は、土地が荒れ、竜巻か決壊が起こっているような暗鬱な風景だが、小さな家には明かりがともる暮らしが感じられる。一方、青空の広がる画面には川の両岸に建物が立ち並び、畑も木々も潤いながら小さな小屋は廃屋のようにも見える。これらの風景は、戦争と平和が全く別個のものでも、また、断ち切られるのでもなく、常に二重写しのように私たちの生活を覆っていることを伝える。(クローズアップ英訳)

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