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  • 《水芭蕉》
    佐藤 多持
    1955年 岩絵具/紙 52.7×72.7cm 佐藤美喜子氏寄贈
    SATO Tamotsu, Mizubasyo, 1955, Color on paper, Gift of Mrs. SATO Mikiko

    赤や黄で画面を分割して塗り分けた《水芭蕉》は、岩絵具を用いた実験的な抽象表現として1955年に制作された。ここに塗られた2箇所の黒色部分には、それぞれに焼き緑青と焼き群青が使い分けられており、岩絵具という伝統的な素材の可能性を徹底的に探ろうとする作家の姿勢が窺われる。小品ではあるものの、東京圏における戦後の日本画改革運動の歴史を跡付ける上で、貴重な作例である。その後「水芭蕉シリーズ」の制作を続けた作家は、水面に水芭蕉の花が重なり合って咲く様子を流麗な墨の線のみで抽象化する新たな表現を開拓していくことになる。

    佐藤 多持 (1919‐2004) 【さとう たもつ】 SATO Tamotsu
    東京都国分寺市生まれ。1941年、東京美術学校(現・東京芸術大学)日本画科卒業。1948年からは、日本アンデパンダン展(読売アンデパンダン)に出品。また同年から旺玄会展に油絵も出品するなど、日本画というジャンルを超えた活動を展開した。そして、生涯を通して水芭蕉をモティーフとする独自の抽象表現を展開し、2004年に85歳で亡くなるまで、新たな日本画を創造する活動を続けた。

  • 《IKAROS 20013》
    山本 直彰
    2001年 岩絵具、箔、樹脂膠/カンヴァス 145.5×436.5cm 賛美小舎(上田國昭・克子)コレクション寄贈
    Naoaki YAMAMOTO, IKAROS 20013, 2001, Color on paper, Gift of Sanbi-Syosya (Mr.UEDA Kuniaki and Mrs.UEDA Katsuko)
     
    この作品は、失墜するイカロスの姿を、岩絵具を用いた鋭い線で暗示的に表現する。イカロスは、ギリシア神話に登場する人物の一人で、王の不興を買い幽閉された塔から蝋で固めた鳥の羽を付けて空に脱出したものの、あまりにも高く飛んだために太陽の熱で蝋が溶け墜落死した青年である。こうした物語を題材に描くものの、具体的なストーリーを説明する要素は省かれ、一条の光となって墜落するものの力感を表現することに主眼を置いている。神話を題材にしつつ、現代における不安や不条理を鋭く描き出した作品である。2002年に開催された第1回東山魁夷記念日経日本画大賞展の出品作。

    山本 直彰 (1950- ) 【やまもと なおあき】 Naoaki YAMAMOTO
    神奈川県横浜市生れ。1973年愛知県立芸術大学美術学部日本画科卒業、1975年愛知県立芸術大学大学院日本画科を修了する。1987年には、第14回創画展創画会賞受賞し、1997年創画会会員となる。1992年から翌年まで文化庁派遣在外研修員としてチェコ、プラハに滞在。伝統的な日本画の主題や技法、素材にこだわることなく、新しい表現を追及する作家として活躍している。

  •  《Bloomy Girls》
    高木 正勝
    2005年 映像 5:22 2006年度購入
    Masakatsu TAKAGI, Bloomy Girls, 2005, video, 5:22, New Acquisition in 2006

    《Bloomy Girls》は、さまざまな色とテクスチャーのうねりの中、おぼろげに女性の表情が浮かび上がり、ミステリアスな美しさを醸し出す映像作品である。タイトルに示されるとおり、咲き誇る満開の花と融合するかのような少女たちの姿は、なにものにも囚われることのない伸びやかさと同時に官能的な愉悦すら感じさせる。作家が「映像を見終わった時に何かが解放されるような」作品にしたかったという画面に広がる色彩の鮮やかな躍動感は、「動く絵画」を目指したものであるという。映像、音楽ともに作家が手がけている。

    高木 正勝 (1979- ) 【たかぎ まさかつ】 Masakatsu TAKAGI
    京都府亀岡市生まれ。映像とともに音楽を制作し、それらの質の高い融合により注目を集めている。2006年には、国際的なデジタル・フィルム・フェスティバル「RESFEST(レスフェスト)において 世界の10人のクリエーターの1人に選ばれた。展覧会におけるビデオ・インスタレーションの発表だけに止まらず、国内外のレーベルからCD/DVDをリリースし、世界各地でのライブを行い、アニエスベーとのコラボレーションによる作品制作を行うなど、映像、音楽、ファッションといった境界を超える多様な活動を積極的に展開している。

  • 《拘束のドローイング 9: ミラー・ポジション》
    マシュー・バーニー
    2005年 C-プリント 各83.8×105.4×3.8cm 2006年度購入
    Matthew Barney, Drawing Restraint 9: Mirror Position, 2005, C-Print, each83.8×105.4×3.8cm, New Acquisition in 2006
    この3点組みの写真作品は、バーニーが捕鯨や茶などの日本の文化に着想を得て制作した約2時間の映画「拘束のドローイング 9」とそれに関連する彫刻、写真、ドローイングによるシリーズ作品のうちのひとつ。捕鯨船に各々別の場所からたどり着いた男女ふたりの西洋の客をバーニー(左)と彼のパートナーであり歌手のビョーク(右)が演じている。中央の茶室に並べられた道具は、彼が制作した彫刻であり、貝やウニなどの海洋生物がモティーフになっている。二人が着ている毛皮の婚礼衣装も作家本人がデザインし、人間の姿から陸生の動物へと変容する様を表現する。茶室に招かれたふたりは奇妙な器で茶を一服するうちに恋に落ち、毛皮の婚礼衣装をまとい、やがて鯨へと変貌を遂げる。進化の過程を逆行するかのような変身の物語は、原始への回帰によって肉体の拘束が解放されることを比喩的に示しているといえる。

    マシュー・バーニー (1967- ) Matthew Barney
    アメリカ、サンフランシスコ生まれ。1989年イェール大学で医学を修めた後、美術と体育を学ぶ。同時に、フットボールの特待生でもありモデルも勤めた経験を持つ。肉体の拘束という独特の身体感覚をもとにした彫刻や映像の作品を発表し、国際的に高い評価を得ている作家である。

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